当たり前のことですが、私たちは地球上にいる限り、重力から逃れることは出来ません。
重力に抵抗する力が無ければ、姿勢は重力に負けてしまい必然的に崩れていってしまいます。
実際、良い姿勢を作ることが出来ても、それをキープ出来ないという方は多いです。
良い姿勢を維持するためには、ただ体幹を鍛えれば良いというわけではありません。
重力に、抵抗することが出来る力を身につけることが必要になります。
では、その力はどのようにしてトレーニングすれば良いのでしょうか?
本記事では、理学療法士・パーソナルトレーナー・バランスボールトレーナーでもある私が「重力に負けない体の作り方」を解説します。
意外と凄い!重力が体に与え影響
普段生活している中で、重力をダイレクトに感じながら生活することはほとんどありません。
しかし、実際には私たちの体には常に重力が掛かっています。
例えば無重力である宇宙にいるときと、地球上にいるときで比較してみましょう。
まず体を支えている骨ですが、これも重力が掛かることが骨への負担となっています。これによって体は、骨を強くしようとしてくれます。
そのため重力がなくなると骨への負荷が減り、骨粗鬆症となってしまいます。
以下の記事によると、体を支えている大腿骨などは、無重力の宇宙にいると高齢者の骨粗鬆症の方の10倍の速さで骨粗鬆症が進んでしまうそうです。
また、当然ながら筋肉も影響を受けています。
ふくらはぎの筋肉などは、宇宙空間では毎日2時間の運動をしていても、6カ月間で平均10~20%も減ったとの報告があります。
このように、私たちの体は知らないうちに重力に影響を受けています。
重力にしっかり打ち勝って立ったり歩いたりすることが出来ていれば、それすらも筋肉や骨密度を維持するのに役立つでしょう。
しかし、重力に抵抗する力が無ければ、それに負けてしまい徐々に姿勢が変化してしまいます。
良い姿勢をキープするということは、言い換えれば良い姿勢で重力に負けな体を作るということです。
重力に抵抗する筋肉たち
重力に逆らって立つために必要な筋肉は、全身的に見ると抗重力筋、体幹だけでみるとインナーユニットが重要になります。
抗重力筋とは?
体にはたくさんの筋肉がありますが、その中でも立った状態を保持するために特に重要な筋肉を抗重力筋といいます。
この抗重力筋が弱化することで、姿勢が悪くなってしまったり、酷くなると足元がおぼつかなくなってきてしまいます。
インナーユニットとは?
肋骨と骨盤の間の空間を腹腔といいます。
この腹腔は以下の4つの筋群に囲まれています。
- 横隔膜
- 腹横筋
- 多裂筋
- 骨盤底筋群
そして、これらをまとめてインナーユニットと呼びます。
このインナーユニットは、互いに強調して働くことで、腹腔内を狭めて内圧を高める作用があります。
この腹腔内圧が高くなることが、腹腔を支える力となります。
この機能も姿勢を保持するためには非常に重要なシステムです。
腹腔や腹圧については以下の記事にまとめているので、さらに詳しく知りたい方はご参照下さい。
kacchin-pt-trainer.hatenablog.com
姿勢改善のためのトレーニングで重要なこと
重力に抵抗する筋肉には、抗重力筋、インナーユニットがあることを上記しました。
では姿勢を改善するためには、それらの筋肉をどんな方法でも良いので、ただ鍛えれば良いのでしょうか?
答えはノーです。
もちろんベースとしての筋力は必要です。
しかし、ただ抗重力筋を鍛えれば姿勢を保持するために使われるわけではありません。
これは、トレーニングの3原理のひとつに特異性があるためです。
特異性というのは、簡単にいうと「筋肉はトレーニングされた使い方でないと、上手く力を発揮できない」ということです。
kacchin-pt-trainer.hatenablog.com
つまり姿勢を改善するためには、その良い姿勢をキープするための使い方をトレーニングしなくてはなりません。
もちろんベースの筋力は無くてはならないので、姿勢改善のためのトレーニングとしては以下のようにトレーニングメニューを考えることが重要となります。
- ベースの筋力としての抗重力筋、インナーユニットをトレーニングする。
- 鍛えられた抗重力筋、インナーユニットを使って良い姿勢をキープするためのトレーニングをする。
ベースとなる筋力のトレーニングは、数えきれないほどのバリエーションがあります。
そのため本記事では、ベースとなる筋肉のトレーニング後に行う、重力に逆らって良い姿勢をキープするためのトレーニングをご紹介します。
姿勢保持に効果的なトレーニング方法
前述したように、体には常に重力が掛かっています。
この重力に打ち勝って良い姿勢をキープするためのトレーニングをするためには、普段掛かっている重力より大きな力を体に掛けてあげれば良いんです。
そしてそれに負けないように姿勢を保持出来れば、姿勢保持のために効果的なトレーニングとなります。
そのためにオススメのトレーニング方法は、バランスボールに座った状態でバウンドすることです。
バウンディングの効果
それでは、バランスボールに座ってバウンドすると、どんな効果があるか解説します。
重力に負けない体を作るためのバウンディングのポイントは、「下に下がった時に体がつぶれないことを意識する」ということです。
下に下がったとき、体には軸圧が掛かります。
これは言い換えれば、重力が普段より強く掛かっているということです。
よくジェットコースターで、「このコースターは〇Gが掛かる!」とか言いますよね。
富士急ハイランドのFUJIYAMAでは、最大3.5Gが掛かるといわれています。
これは、通常より3.5倍の重力加速度が掛かっているということになります。
ジェットコースターが好きな方でしたら想像しやすいかと思いますが、Gが強く掛かっているときって、頭を起こしているのが正常な位置に真っすぐ保つのが大変なんですよね・・・
これは、Gが掛かっているためです。
少し話がズレましたが、ボールの上でバウンドすると、下に下がった瞬間には体に普段よりも数G大きく軸圧が掛かります。
この軸圧に負けてしまうと姿勢を保持出来ませんが、逆にこれに耐えて良い姿勢をキープすることが出来れば、それは重力に負けずに姿勢保持するトレーニングになっています。
つまり、前述した姿勢をキープすることに特異性のあるトレーニングとなってくれます。
バウンディングのやり方
バウンディングをする前に、良い姿勢を作るということが最も重要なポイントです。
この良い姿勢というのが、案外難しく、そもそも何が良い姿勢なのか分からないという方も多いと思います。
バウンディング前に、以下のチェックポイントを確認してみて下さい。
- 横から見たとき、「耳ー肩-骨盤の真ん中-ボールの中心」が一直線上にある。
- 坐骨結節(お尻の骨の尖ったところ)で支えている。
- イメージとして後頭部に紐がついていて、天井へ引っ張られている感覚。
このチェックポイントを意識した姿勢が取れたら、あとはそれをキープしたままバウンドするだけです。
バウンドしている時は、
- 特に下がった時に、最初の姿勢が崩れないように!
- 足で地面を踏ん張らない、足は地面についているだけ。
- バウンディング中、自分の重心が前後左右にブレない位置を感覚的に探りながら!
これらを意識しましょう。
回数はどのくらい?
回数については、明確な答えはありません。
このバウンディングを正しい姿勢で行っていると、徐々に体の軸が安定してくる感覚が得られてきます。
その感覚が得られたら終了です。
始めは少し分かりにくいかもしれません。
しかし、何度か体の軸を意識しながらバウンディングをしていくと、徐々に軸が安定してくる感覚が分かってくると思います。
ただし、バウンディング中に姿勢が崩れてしまうと、軸はいつまでも安定しません。
姿勢をしっかりキープしながら、体の軸を意識してバウンドしていきましょう!
まとめ
重力に負けないため体作りのためには、
①まずは、ベースの筋力をトレーニング。
②その後、重力に逆らって良い姿勢をキープするためのトレーニング
このような流れでトレーニングすることが必要です。
是非みなさんも、今回ご紹介したバウンディングで重力に負けない体を作りましょう!
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理学療法士として、腰痛や肩痛、膝痛など様々な症状の患者さんの治療経験から、ただのトレーニングではなく、動ける身体づくりを目指しています。
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