ゴルフや野球など、体の回旋が入るスポーツで時々耳にするのが、
「腰を回せ!!」
しかし、実際には腰は回せません。
結論を先にいうと、腰は回さずにその上下の関節である、胸椎(胸郭)と股関節で回す必要があります。
これを無理に腰で回そうとしていると、腰を痛めてしまったり、成長期では腰椎分離症を引き起こしてしまいます。
本記事では、理学療法士として数々の腰のスポーツ疾患に携わってきた私が、
- なぜ腰を回してはいけないのか?
- 腰を回さないために必要なこと
- 効率の良い体の回旋が出来るために行いたいエクササイズ
について解説します。
腰は構造的に回すのには適していない!
腰椎の構造を見てみよう!
まず見て頂きたいのが、腰椎の構造がどうなっているかです!
上の図のように、腰椎は関節が縦に並んでいます。
そのため、回旋しようとすると骨同士がぶつかってしまい、回旋出来ないようになっています。
角度としては5°程度しか動きません。
胸椎の構造を見てみよう!
次に胸椎の構造を確認してみましょう!
腰椎とは関節の向きが違います。
そのため、回旋しても骨同士がぶつかりません。
胸椎は捻るのに適した構造となっているのです!
椅子に座った状態で、体を左右に回旋してみて下さい。
普段は意識することはありませんが、明らかに腰より胸椎で回旋する動きが大きいのが感じられると思います。
捻れない腰を無理に捻るとどうなるか?
捻れないはずの腰を無理に捻る動きを繰り返していると、当然そこには負担が掛かってしまいます。
それにより、引き起こされる疾患はいくつか考えられますが、今回は特に代表的な2つをご紹介します。
成長期の場合は腰椎分離症の原因に!
腰椎分離症は、成長期に腰を捻ったり反らしたりする動きを繰り返すことで起こる腰椎の疲労骨折とも言われる状態です。
上記したように、腰を捻ると骨同士がぶつかりやすいため、腰椎自体に負担が掛かり骨折してしまいます。
この腰椎分離症ですが、早期にしっかり対処すれば骨癒合する確率はかなり高い骨折です。初期の分離症では、3か月運動を休んで固定すれば、癒合率は90%とも言われています。
ですが、進行してしまうと偽関節という状態になり、完治は不可能となってしまいます。
さらに進行すると分離すべり症となり、神経を圧迫して脚に痛みやしびれが出現してしまうことがあります。そうなってしまうと、最悪の場合手術が必要になってしまいます。
分離症を予防するためには、成長期の体の使い方としても、腰は捻らないということが非常に重要になってくるのです。
筋筋膜性腰痛
捻ることが出来ないはずの腰を、無理に捻ろうとすることは、筋肉にも大きな負担が掛かります。
可動域が無い部分を無理やり動かそうとするのですから、負担が掛かるのも当然です。
筋肉への負担が蓄積すると、筋肉や筋肉を覆っている膜である筋膜に痛みが出る「筋筋膜性腰痛」となってしまいます。
痛みが出ても安静にしていれば治りやすい疾患ですが、同じ使い方をしていれば再発する可能性が高いです。
そのため、再発させないためには体の使い方を変える必要があります。
なぜ腰を回そうとしてしまうのか?
腰を過剰に回旋させてしまう最も多い原因が、本来回旋すべき場所が硬くなっているということです。
回旋すべき場所というのは、胸椎と股関節です。
胸椎は、構造的にも回旋に適していることは上記しました。
股関節も回旋に適した構造をしています。股関節が回旋出来るというのは、イメージしやすいですよね。
股関節は球関節という、かなり自由度の高い関節となってします。
腰は安定させて、胸椎と股関節で回旋させる。
これが、体の負担が少ない回旋動作となります。
この動かし方は、ジョイントバイジョイントセオリーという考え方でもあります。
これは、安定させるべき関節である「スタビリティ関節」と動かすべき関節である「モビリティ関節」が人間の体には交互に存在しているという考え方です。
このジョイントバイジョイントセオリーの中でも、腰はスタビリティ関節、胸椎と股関節はモビリティ関節です。
詳しくは以下の記事にまとめています。
kacchin-pt-trainer.hatenablog.com
こういった腰は安定させて、胸椎と股関節は動かすエクササイズは数多くあります。
バランスボールを使ったエクササイズでは、それが自然と出来るようなエクササイズがいくつかありますので、本記事では2つご紹介します。
腰の負担を軽減させるエクササイズ
トランクローテーション
<目安回数>
片側20回ずつ
<ポイント>
背中~肩甲骨~肩が動いていることを意識しましょう。
間違っても腰で捻ろうとしてはいけません!
はじめてこのエクササイズを行う場合や、バランスが取りにくい場合は、足を少し大きめに開いてみましょう。安定感が増してバランスが取れるようになります。
ボディツイスト
<目安回数>
左右10回2セットずつ
<ポイント>
股関節と胸郭が腰を中心として逆回旋する動きのトレーニングです。
先に紹介した”トランクローテーション”より難度は高くなります。
この股関節と胸郭が逆回旋する動きというのは意外に多く、身近なところではウォーキングやランニングもそうなっています。
このボディツイストを正しいフォームで行うことで、逆回旋の動きをスムーズに行うことが出来るようになります。
エクササイズ後は、ウォーキングやランニングでの上半身と下半身が動きやすくなるのが分かると思います。
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理学療法士として、腰痛や肩痛、膝痛など様々な症状の患者さんの治療経験から、ただのトレーニングではなく、動ける身体づくりを目指しています。
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