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ケガに対するアイシングは効果なし?そのエビデンスは?

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アイシングの画像

 

みなさん、スポーツをしていてケガをしたとき、どんな処置をしますか?

おそらく多くの方がアイシングをすると思います。

 

しかし、最近の研究ではアイシングの効果について懐疑的にみられているものが多くなっています。

 

本記事では、理学療法士、パーソナルトレーナーである僕が、ケガに対するアイシングはどんなときにしたほうが良いのか?また、アイシングのエビデンス(科学的な根拠)についてご紹介します。

 

 

ケガをしたら一般的にはRICE処置が行われている

RICE処置の画像

 

一般的に、捻挫などのケガをした場合、上の画像のようなRICE処置がされます。

これは、内出血や腫脹を軽減して、痛みを抑える効果があります。

 

僕も、バレーボールチームのトレーナーとして活動していたときには、ケガをした選手がいるとRICE処置を行っていました。

 

しかし、当時から思っていたんですよ。

本当にRICE処置は効果があるのか

 

ケガをした後に起こる炎症反応は、組織を修復するためのプロセスの一つとして生じるわけです。

ということは、それを阻害する行為であるアイシングは、その場で痛みを抑えることは出来ても、逆に治りを遅くしてしまっているのではないか?

 

そんな疑問を持ちながらも、RICE処置を行っていました。

なぜかというと、RICE処置を肯定するエビデンスも無いけど、否定出来る十分なエビデンスも無いからです。

 

そうなってくると、ケガをした選手に対して、昔から一般的にやられているRICE処置をしないで、万が一治りが遅かった場合・・・

なんでRICE処置をしなかったんだよ~

となって言われてしまう怖さがあるためです。

 

この現状はおそらく今も大きくは変わっていません。

 

 

アイシングは筋損傷の回復を遅らせる?

筋肉の画像

 

RICE処置が一般的に行われている一方で、筋肉が損傷した場合にアイシングが回復を遅らせるのではないか?という研究論文が2020年に、神戸大学の荒川准教授らによって発表されました。

 

肉離れをした場合、通常は炎症性マクロファージが損傷した筋線維に集まってきます。

炎症性マクロファージが、損傷した筋肉を貪食することで、そこに新しい筋肉が作れていくという回復過程をたどるようです。

 

荒川准教授は、肉離れを起こしたマウスを用いて、アイシングをした場合としない場合の回復過程を比較しました。

 

その結果、アイシングを施すことで筋肉の再生が遅れる可能性があることが分かりました。

この原因として、アイシングをした場合に炎症性マクロファージの到着が遅れることが挙げられるようです。

炎症性マクロファージによる損傷金の貪食が十分に行われなくなってしまい、筋肉の回復が遅れる可能性が示唆されています。

 

詳しい内容は以下のリンクで紹介されています。

アイシングは肉離れなどの筋損傷後の再生を遅らせる | 神戸大学ニュースサイト

 

 

ケガをしたらアイシングはするべき?

アイシングの画像

 

重篤な損傷筋肉へのアイシングが回復を遅らせる可能性が示唆された一方で、軽微な損傷筋に対しては、アイシングが再生を促進する可能性も示唆されています。

 

上の研究と同じ荒川先生の研究グループによると、全筋線維数の10%以下に起こる損傷では、アイシングをすることで再生が促進されたようです。

軽微な筋損傷に対するアイシングは筋損傷後の再生を促進する | 神戸大学ニュースサイト

 

これは、軽微な筋損傷の場合には炎症性マクロファージによる貪食が、二次的に筋損傷を拡大しているのではないかということのようです。

 

これらの研究結果を受けて荒川先生は、どこまでの筋損傷ならばアイシングの適応となるのか、その線引きについてはまだ分かっていないとしています。

 

また、この研究では筋線維に対して行われていますが、靭帯などの筋線維以外の損傷についても同様の結果となるのかは分かりません。

 

結局のところ、ケガをした場合にアイシングをするのかしないのか、いまだエビデンスは確立されていません。

明確にアイシングが良いという根拠も無ければ、アイシングが悪いという根拠もありません。

そのため、現場のトレーナーの判断に委ねられるところです。

 

 

もし僕がケガをした現場にいたら、アイシングをするか?

捻挫の画像

 

おそらく、受傷直後はアイシングをすると思います。

その理由としては、過度な腫脹による二次的な低酸素症を防ぐためです。

 

しかし急性期を過ぎれば、ある程度の熱感や腫脹が続いていても、アイシングをする必要はないと僕は考えています。

やはり、アイシングで炎症反応を抑えることが、正常な回復の過程を阻害してしまう可能性があると考えられるためです。

 

 

まとめ

 

ケガをした場合のアイシングについて、神戸大学の荒川准教授らの研究論文を中心にまとめました。

 

アイシングは昔から行われているものですが、その割にエビデンスは確立されていません。

そのため、今後の研究結果が待たれるところです。

すべての損傷にアイシングが必要なわけではなさそうだということは、頭に入れておいた方がよさそうですね。

 

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