バランスボールでアウターユニットをトレーニングして、効率よい体の動きを手に入れよう!
【エクササイズ難度】
★★★☆☆ Level 3
【メインターゲット】
大殿筋、広背筋
【こんな方にオススメ】
・お尻を引き締めたい方
・骨盤周囲を安定させたい方
・安定したランニングフォームを手に入れたい方
・ランニング時に腰痛のある方
・キック動作での障害予防をしたい方
【ポイント】
・お尻は持ち上げるより、ボールを足で押し付けることを意識します。こうすることで、他の筋肉での代償を防ぎながら大殿筋を効率よく鍛えられます。
・ボールに乗せている足の反対側の手(前腕)で、床を押すように力を入れます。これによって、手で押している側の広背筋に力が入り、アウターユニット後斜系システムの機能に対するエクササイズとなります。
・両側の骨盤を水平に。特に空中に浮かせている側は、支えがないので骨盤が下に傾きやすいので注意しましょう。
【理学療法士による、ちょっとマニアックな解説】
インナーユニットとアウターユニット
インナーユニットは、腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群で構成されます。これらは強調して働くことで、体幹を安定させる作用があります。
アウターユニットは、以下の4つの機能に分類され、これらが機能的に作用することで効率よく体が動かせるようになると言われています。
アウターユニット
①後斜系システム
②深部縦走系システム
③前斜系システム
④外側系システム
インナーユニットとアウターユニットは、どちらかだけが働いていれば良いというわけではありません。インナーユニットが、体幹を安定させた状態でアウターユニットによって効率的に体を動かすことが出来ている状態をつくる必要があります。
このエクササイズは正しい方法で行えば、一側の大殿筋と対側の広背筋を同時にトレーニングすることが出来ます。つまり、アウターユニット後斜系システムを効率よく機能させるためのトレーニングとなります。
アウターユニット後斜系システムが機能することのメリットは?
私たちが歩くとき、自然な動作として左足を後方へ引いたときは右手を後方へひきます。これは当たり前にやっていることですが、左足を後方へ引くために左の大殿筋を、右手を後方へ引くために右の広背筋を使用しています。つまり、アウターユニット後斜系システムを使って体を動かしているのです。
スポーツの場面では、例えばボールを蹴るキック動作です。
右足でボールを蹴る場合、右足のテイクバックさせるために右の大殿筋が使われますが、その際に左手は後方へ引き広背筋を作用させることでアウターユニット後斜系システムを機能させます。クロスモーションとも言われていますが、この動きによって安定したテイクバックをすることができます。
このようにアウターユニット後斜系システムの機能は、日常やスポーツなどで自然と使われています。この機能が破綻していると、それを補うように他の腰の筋肉を使い過ぎてしまったり、関節に負担がかかり痛みにつながる原因となってしまいます。
シングルヒップリフトをバランスボールで行うメリット
①固有感覚を刺激することが出来る
ダブルヒップリフトの項目でも解説していますが、ボールに足を乗せて行うことで、強制的に不安定な状態を作ることが出来ます。
不安定ということは、バランスを崩さないように能動的に安定性を得ようとします。つまり、関節や筋肉がどの程度動いているかなどを伝えている「固有感覚」を刺激することになります。
②歩行やランニングに特異的な動きでトレーニング出来る
歩行やランニング時、後方へ引いた足の膝は伸展位(伸ばした状態)か、軽度屈曲位で後方へ引くことになります。このバランスボールを使ったトレーニングでは、乗せた足の膝は伸展位のため、歩行やランニングに近い動作でのトレーニングが可能です。
トレーニングには、「特異性の法則」の原理があります。
「NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識」の中で特異性の原理について「トレーニングが最も効率的であるのは、筋収縮のタイプや動作パターン、範囲、速度などの点が改善しようとするターゲット動作と類似している場合である」と記載されています。
この「特異性の原理」から考えると、バランスボールに足を乗せてシングルヒップリフトを行うことは、歩行やランニング動作での蹴りだしに特異的な動作でトレーニングが可能です。
力強い蹴りだしを手に入れたい方には、必須のトレーニングです。
☆関連するエクササイズ
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