理学療法士のバランスボールフィットネス

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リフティング・チョッピング ~バランスボールで野球やバレーボールでの腰痛、肩痛を改善しよう~

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肩と胸郭を運動連鎖でリンクさせる!

スタートポジション

リフティング

チョッピング

【エクササイズレベル】

★★★☆☆ Level 3


【メインターゲット】

腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋のトレーニン

胸椎、胸郭の柔軟性改善

正しい運動連鎖(キネティックチェーン)の獲得


【こんな方にオススメ】

・しなやかな体の使い方を手に入れたい方

・姿勢を改善したい方

体幹レーニングをしたい方

・野球やバレーボール、テニス等のオーバーヘッドスポーツでの、腰痛、肩痛の改善、予防


【ポイント】

・ボールの少し前に座りましょう。ボールの真ん中に座っていると、リフティングの動きで後方へ転倒してしまうことがあり危険です。

リフティングで手のひらは下の方へ向けることを意識しましょう。逆にチョッピングでは手をクロスさせ、親指側が下を向くようにしましょう。こうすることで、肩から体幹にかけての正しい運動連鎖パターンを引き出すことが出来ます。

・リフティングでは、腰椎ではなく胸郭が伸展する意識で行いましょう。

・チョッピングでは、骨盤をしっかり前傾させます、こうすることでハムストリングス(もも裏)のストレッチが同時にできます。


理学療法士による、ちょっとマニアックな解説】

野球の投球や、バレーボールのスパイク動作などに共通する体の使い方とは?

野球の投球動作では、瞬間的に肩には外旋・水平外転力が掛かります。これによって、その後に腕を振るために使う筋肉を予備伸長し、パワーをためることが出来ます。これはStretch Shortening Cycle(ストレッチ・ショートニング・サイクル:以下SSC)といって、動かす方向と逆方向に素早く伸長を加えることで、より大きな力を発揮することが可能になります。

投球時の肩関節外旋+水平外転

しかし、このSSCによる力発揮を肩関節だけで行おうとしていると、肩の負担が大きくなり、いずれ肩を傷めてしまいます。肩だけに頼らず、体全体で効率よく力を発揮できる使い方を身につける必要があります。

そこで必要なのが、胸郭を伸展させること(胸を張る動き)です。

この胸郭を使えるようにすることで、肩関節の外旋・水平外転という動きのみに頼らず、SSCを効率よく使った投球をすることが出来ます。

 

バレーボールのスパイク動作や、テニスのサーブなども同じです。ボールを打つ前のテイクバックで、肩だけでなく胸郭も含めた「しなり」を作ります。こうすることでSSCを最大限に利用でき、肩や腰に負担が少なく、力強くボールを打ち出すことが出来ます。

肩+胸郭での「しなり」

仮に胸郭の伸展性が失われている場合、このテイクバック動作を肩や腰で無理に引き出そうとします。結果的に、肩や腰に負荷が集中することで、肩痛や腰痛を引き起こしてしまいます

 

まとめると、投球やバレーボールのスパイク、テニスのサーブなどのオーバーヘッド動作では、肩だけでなく胸郭の伸展も使って「しなり」を作ることが重要です。Hign performance = Safety という言葉がありますが、肩の動きと胸郭の動きをリンクさせることで、高いパフォーマンスと安全性を両立した動きへとつながります

 

手の捻り方を工夫して、より特異的なエクササイズにしよう

このエクササイズでは、リフティングでは手のひらを下に向ける方向へ捻り、チョッピングでは親指が下を向くようにして手をクロスさせています。これには、どのような意味があるでしょうか?

バランスボールを使ったエクササイズの特徴の一つとして、”特異性”があることは、このサイトでは何度か記載しています。この手の捻り方や手をクロスさせる動きも、この特異性に関係しています。

”NSCA パーソナルトレーナーのための基礎知識”の中で特異性の原理について、「トレーニングが最も効果的であるのは、筋収縮のタイプや動作パターン範囲、速度などの点が改善しようとするターゲット動作と類似している場合である」

と記載されています。

 

リフティング・チョッピングエクササイズでは、投球などオーバーヘッドスポーツの動作で、肩~体幹がリンクした動きを引き出すことが一つの目的です。

この時、動作の特異性を考えるとリフティングでは、手のひらを下に向ける方向へ捻ることで肩を外旋させ、チョッピングでは手をクロスしながら親指を下に向けて肩を内転+内旋させる動きとなります。これは、投球でもバレーボールでもテニスでも、すべて共通した動きになります。

 

少しややこしくなってしまいましたが、簡単にまとめると、

実際の動作に近い肩の動きでエクササイズすることで、肩と体幹の動きをリンクさせた動作を習得出来る

ということです。

 

オーバーヘッドスポーツをされる肩にとって、このリフティング・チョッピングエクササイズは、非常に有用なエクササイズとなります。日頃のコンディショニングはもちろん、ウォーミングアップでも効果を発揮するため、是非取り組んでみて下さい。

 


☆関連するエクササイズ

その他の胸郭を柔軟にするエクササイズはこちら↓

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